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難聴者に明瞭な音声を・越谷RCが社協に専用機器を寄贈

2020.10.5(越谷市)
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 騒音や雑音に邪魔されずに音声を明瞭に聞きとれたら――そんな難聴者の願いに応えようと、「越谷ロータリークラブ」(豊田高行会長)は9月29日、「携帯型ヒアリングループシステム(磁気誘導ループシステム)」を越谷市社会福祉協議会(杉本昭彦会長)に寄贈した。映画や講演会などの音声を磁気に変え、増幅して補聴器や受信機で明瞭に捉えるシステム。海外では公共施設などに設置されているが、日本での普及は遅れる。同社協は、「講座や講演会など幅広く使用していきたい」と話し、難聴のために引きこもりがちな高齢者らの社会参加を促すものと期待している。

 今年創立60を迎えた同クラブは、地域の福祉に役立つ記念事業の一環として、同市社協とも相談して、今回の「難聴者への情報保障支援プロジェクト」を実施した。

 難聴者が使用する「補聴器」は、単に周囲の音を大きくするだけのもので、言語の識別を助けるものではない。聞きたい音以外の音も同じ大きさで拾ってしまうため、騒音や雑音の中で必要な音だけ識別することが困難だ。「講演会で講師の声が聞き取りにくい」「参加しても理解できない」というのが、使用者らの悩みだった。

 「携帯型ヒアリングループシステム」は、こうした問題を解消するために開発された。

 このシステムは、延長コード状になっている「ループ」とよばれるアンテナを、会場の床に這わせて、マイクの音を磁気に変え、アンプで増幅する。マイクで拾った音だけを補聴器や受信機に音声として届ける。広いホールや劇場などで開かれる講演会や大きな会議室で、話す人と離れている状況でも、目的の音を正確に聞き取ることができる。

 同クラブが寄贈したのは、携帯型で移動が可能なため、同市や同社協が主催するイベントで使用するだけでなく、障害者団体への貸し出しもできるなど、幅広く活用ができる。

 支援プロジェクト担当で、同クラブの横家豪・社会奉仕委員長(46)は「難聴者の方は増えており、こうした社会的弱者の方たちへは、これまでにない新しい視点での支援が必要と考えている」と話している。今回の機器の購入費は約50万円という。

 9月29日、越谷産業会館で贈呈式が行われ、同クラブの豊田高行会長から、同社協の杉本昭彦会長へ同システムが手渡された。豊田会長は「高齢化社会を迎え、耳の不自由な方が増えている。このシステムを活用していただき、イベントなどに高齢者が参加するきっかけになってほしい」とあいさつした。

 また、杉本会長は「これまで、ヒアリングシステムを利用したいときは県の障害者施設から借用していた。社協では初めての導入。携帯型のため、公民館や集会施設など幅広く利用できる。この機器の使用で難聴の方の社会参加が進むことが期待される」と謝辞を述べた。

 同社協は今後、同市障害者福祉施設「こばと館」を拠点に、各種イベントなどへ無償で貸し出すことにしている。
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