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イチゴ栽培にAI導入・ロボットで収量予測

2019.12.10(越谷市)
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 イチゴの実がどれだけ収獲できるか、正確に知りたい――こんなイチゴ農家の願いに応えようと、越谷市は、東京都内のベンチャー企業が開発したAI(人工知能)を利用した自走式ロボットを導入して、イチゴの収穫量を予想する共同研究に着手した。イチゴの観光農園に年間約9万人が訪れている同市だが、イチゴの実の数を各農家が数えるのは不可能。各農家は、勘や経験だけでイチゴ狩り客を受け入れており、「実が余るロス」を常に抱えている。同市と企業によるロボット導入の共同研究は、今後の安定経営につながるものと期待されている。

 同市と共同研究するのは農業ベンチャー「銀座農園」(東京都中央区、飯村一樹社長)。同社はこのほど、AIを利用した自走式ロボット「スマートアグリ・モビリティ・FARBOT」を開発した。これは幅580_、奥行680_、高さ900_(台座高370_)の荷台と、カメラが付いた4輪(後輪左右独立駆動)で自走するロボット。リチウムイオン電池で連続4時間稼働できる。

 カメラのほか、温度、湿度、二酸化炭素を測るセンサーを搭載し、積載容量は100`という。まだ市販されていない。

 同市は2010年度から、同市農業技術センター(石川博規所長)で、イチゴ農家を育成する「都市型農業経営者育成事業」をスタート。ここを巣立った若手経営者がイチゴ観光農園を開園している、また、市内のイチゴ農家らが運営する大型観光農園「越谷いちごタウン」も15年にオープンしており、イチゴ狩りシーズンの1、2月には連日予約でいっぱいとなる人気だ。

 ところが、収穫体験できる実がなくなるのを恐れ、各農園は、これまでの勘や経験から早めに、来場を断るケースがある。その結果、「毎年ロスが出て、イチゴが大量に余り、加工品などに安く仕入れられ、利益が出ない」といった悩みを抱えているのが現状。このため、同市農業技術センターは、農業ベンチャーの銀座農園に声をかけ、イチゴ栽培は初めてという同社と効率栽培のノウハウ確立の研究に着手した。

 今月からスタートした研究は、同ロボットを使って、毎日、温室内の温度、湿度、日射量、炭酸ガスなどを計測し、カメラで実の数を計測する。これらのデータから収穫量を予測し、来客数を計算するというもの。

 銀座農園の取締役最高技術責任者の山田周作さん(43)は「イチゴ栽培に使うロボットは高精度のカメラを備え付けており、AIでイチゴの数を9割以上の確率で正確に数えられると思う」と話す。同農園は、共同研究の状況を見ながら、市販化を目指すという。

 同市は共同研究で同ロボットを活用した「収穫物予測システム」が確立されれば、「越谷いちごタウン」や市内の民間観光農園にノウハウを活用してもらう方針だ。
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