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発達障害者のよりどころ・「あではで・埼玉・家族の会」

2018.1.29(越谷市)
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 いつも動き回る、集中力がない、集団になじめず、忘れ物が多い―といった特徴のある「注意欠如多動性障害(ADHD)」。神経発達症の一つという、そんな症状を持つ家族を抱えた人たちの“よりどころ”を、と越谷市在住の学童保育室指導員、本谷正江さん(46)がこのほど、「あではで・埼玉・家族の会」を立ち上げた。同症状の人や家族は周囲に話し合う場もなく、不安を抱えている人が多いため、「同じ環境の人同士、何でも話し合い、悩みを解決しよう」という狙い。「あではで」は、「ADHD」のドイツ語読みで、「あでやかに、はでやかに」の願いを込めた。本谷さん自身もADHD。「話し合う場がなく、不安を抱えている人はぜひ連絡を」と呼びかけている。


 同家族の会は、奇数月の第2水曜日に同市中央市民会館1階の市障害者福祉センター「こばと館」で開催している。1月10日には、「夫がコミュニケーションを取るのが苦手で会社を辞めてしまった」、「子どもが学校のクラスの子になじめない」などといった悩みを抱えた3人が集まり、胸の内を吐露した。

 学童保育室の指導員歴25年の本谷さん。10数年前、ADHDの診断を受けた小学1年の女児を預かったが、「いつも動き回り、ルールを守れない」「集中力がなく、他の子が宿題をやっていても本人は一向に進まない」といったことに悩まされ、対応の難しさを知った。症状について学ぶ中で、ADHDの中には、動き回らなくても「不注意優勢型」という症状があることが分かり、実は自身も当てはまることに気づいた。

数年後、会社員の夫(54)がパワハラを受けて、うつ病になって休職。会社側の配置替えなどの支援で夫は数か月後に復帰したが、今度は本谷さんが精神的に不安定となり、ADHDの診断ができる専門医に診てもらったところ、ADHDと診断された。

 「子どもの頃から忘れ物が多く気になっていた。ADHDと診断され、努力が足りなかったという問題ではなかったと納得した」と本谷さん。今も、「人の顔を覚えるのが苦手」と言うが、医療機関で処方された薬で、うつ症状や以前からの突発的な眠気といった症状は改善し、現在は薬も服用していない。

本谷さんは、神奈川県内のADHDの“自助グループ”に参加し、「同じ悩みの人がたくさんいること」を知り、徐々に元気を回復。「埼玉でも自助グループを作りたい」の思いを強め、越谷市保健所に相談したところ、同保健所が積極的に支援することになり、家族の会を発足させた。

 同保健所によると、市内で「精神障害者保健福祉手帳」を交付されている人は2400人。通院医療費を公費負担する「自立支援医療費制度」の対象者は4625人。そのうち、「発達障害」の治療を受けているのは125人という。本谷さんは「ADHDはあまり知られておらず、多くの人が生活上、困っている」と言い、「当事者同士で話し合い、元気になってもらうお手伝いができれば。将来的には、ADHDの理解を広げる活動も企画していきたい」と話している。また、同保健所精神保健支援室は「おかしいと思ったら、気軽に相談を」と呼びかけ、家族の会の受け付けや問い合わせの窓口となっている。

 <問い合わせ>越谷市保健所精神保健支援室TEL963・9214。


 【メモ】注意欠如多動性障害(ADHD=attention deficit hyperactivity disorder)は、多動性(過活動)、不注意(注意障害)、衝動性を症状の特徴とする神経発達症。小学校入学前後に発見される場合が多く、一般的に遺伝的原因があるとされる。集中力や注意力が維持できず、さまざまな情報をまとめるのが苦手で、日常生活に支障があるが、適切な治療と環境を整えると症状を緩和することも可能。
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