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甲冑技法で新製品開発・スマホカバーとボトルキャップ

2016.11.28(越谷市)
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 伝統の「甲冑」作りの技法で、現代的で斬新な商品を―。県がこのほど実施した「県伝統工芸品等新製品開発コンテスト」で、越谷市内の甲冑制作メーカーが開発した2つの商品が見事、最優秀賞と優秀賞に輝いた。「威し」と呼ばれる編み込み技法で作った「スマホケースカバー」(甲冑工房 有限会社朝比奈)と、兜制作の技法を生かした「ワインボトルキャップ」(株式会社忠保)。いずれも、伝統とモダンが見事に融合したユニークな商品。県は今後、外国人や若者、女性をターゲットに年度内の市販化を目指して、両社をバックアップするという。

 コンテストは県指定の伝統的手工芸品などを対象に、デザイナーや外国人などの意見を聞き、新たな「売れる」商品開発するのが目的で、県が今年初めて実施した。15点の応募があり、先月下旬、有識者8人の審査で入賞作品5点が決まった。

 最優秀賞の「スマホケースカバー」は、中央に甲冑作りの伝統技法「威し」を取り入れた。「威し」は、威し糸という糸で甲冑部品の「小札(こざね)」を編み込む技法。糸や編み方で、さまざまな柄ができる。受賞作品は主に赤糸と白糸で、「屏風の質感」をイメージした。樹脂製のカバーに色鮮やかにはめ込んでいる。制作した「朝比奈」の職人、朝比奈龍さん(39)は「スマホを守るケースと身を守る『甲冑』に『守る』という共通点を思って作った。糸のグラデーションで、質感を高めるのに苦労した」という。

 「日本の伝統工芸や日本文化を知ってもらう新たなツールにしたい。価格は1万円以内に抑えたい」(龍さん)とさらに工夫を重ねている。

社長の朝比奈誠さん(68)は「近年は節句も変化してきている。この商品を手にとって日本文化を知るきっかけになれば」と期待する。

 優秀賞はサムライ ボトル キャップ」。五月人形の兜同様に、金細工、漆、組み紐といった伝統技法で作ったもので、高さ5aほどの兜をワインのふたとして使えるユニークなボトルキャップ。人気の「真田幸村」をはじめ、徳川家康、織田信長、伊達政宗、上杉謙信の兜をモチーフにした5種類で、本物の金属を使ったミニチュア兜となっている。

 「忠保」は5年前から、ワインや日本酒の瓶に「着せる」甲冑型の「ボトルアーマー」を考案し、販売をしているが、1個6・5万円〜9万円するため、価格を半分に抑えた商品開発を考えた。大越社長(47)は「ボトルアーマーを年間200個以上、国内や海外で販売しており、ボトルキャップなら多くの人に購入してもらえると考えた。日本酒や焼酎の瓶のふたにも使えるようアレンジしたい」と話し、来年2月の市販を目指す。同社長は「今回のボトルキャップには、多くの職人の技と思いが込められている。越谷の甲冑を世界中に販売したい」と意欲を見せる。
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