トップニュース

越谷初の「民間救急」誕生・石村さんら3人「ほほえみ」立ち上げ

2015.11.23(越谷市)
ニュース写真
「病院から一時帰宅したい」「介護施設に移りたい」といったニーズに応える“民間救急”が越谷市に初めて誕生した。市内の介護士や消防署OB3人で立ち上げた「ほほえみ」(石村恵代表)。寝たきり患者の要望でも緊急性がないと救急車は利用できない。そうした時にストレッチャーや酸素ボンベなどを備えた車両でサービスを提供できるのが民間救急だ。運行には消防署の認定が必要で、「ほほえみ」はこのほど、同市消防本部から「患者等搬送事業」の第1号の認定を受け、患者の多様な要望に応える事業をスタートさせた。

 “民間救急”は、転院や入退院、通院などの緊急性がない場合の民間の搬送事業者。所轄の消防署の認定が必要で、消防署の「適任者講習(24時間)」を修了し「適任証」の交付を受けた人が乗務できる。車両に救急車に準じた装備や資器材を備えなくてはならず、タクシーやバスのように「旅客自動車運送事業」の許可も必要。緑ナンバーで、利用は有料。緊急走行はできず「赤色灯」は付けられない。
 代表の石村さん(53)はガソリンスタンドを経営していたが、4年前、栃木県足利市内の特養ホーム職員となった。高齢者介護にあたる中で、「近くに自宅があるのに亡くなるまで帰ることができない人や、外出もできない人ばかり。何か手助けしたい」と思い、「介護サービス提供責任者」の資格を取り、2年前に独立して、ひとりで「生活サポート事業」をスタートさせた。
 「介護保険」が適用されない施設から自宅への移動やイベントの参加、旅行など車を運転して引き受けていたが、「末期がんの患者」や「寝たきりの人」の搬送希望が多く、石村さんは「民間救急」の必要性を痛感した。そのため、東京消防庁で専門知識の研修を受けて、越谷市消防署に相談したところ、救急救命士の鈴木明人さん(53)が共感し、退職して共に「民間救急」を立ち上げた。
 鈴木さんは救命士24年の「救急のエキスパート」。「救急搬送先から、救急車で帰宅したい、との要望があっても、お断りしていた。民間救急でもっと助かる人がいるはず」と考えていたという。
 ニーズは予想以上だった。「末期がんの患者さんの誕生祝いのため、病院から自宅に搬送すると家族は涙を流して喜んでくれた」という。「死ぬ前に、一度北海道に行きたい」との要望に応えて、フェリーを使い、北海道旅行に同行したこともあるという。
 搬送料は最初の2`まで750円、状況に応じて「介助料」(1000円から)、「医療器具使用料」(同)などがかかる。24時間対応。越谷市消防本部によると、昨年1年間で救急車の搬送は1万3927件に上ったが、そのうち55・4%が軽症(傷)者の搬送だったという。こうしたことから潜在的なニーズはあり、今後利用者が増えるとみられる。
 <問い合わせ>ほほえみTEL090・2201・1322。

>戻る