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越谷市民が戦争体験を本に・お話便「あ」がまとめる

2015.7.6(越谷市)
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 今年は戦後70年の節目の年。越谷市の朗読サークル「お話便『あ』」(根岸純子代表、会員11人)は6月末に、「あの頃〜越谷に住む人の戦争体験記〜」(A5判、190n)を本にした。市内に住み、空襲や疎開など「戦争」を体験した70歳代から80歳代の18人の体験談が綴られている。米軍の戦闘機から焼夷弾が落とされて、防空壕に必死で逃げる体験やミルクがなく、ヤギの乳で赤ちゃんを育てた母親の話など、ショッキングな話をリアルに飾らない文章で書かれている。11日には、サンシティ・視聴覚室で体験談を書いた人が生の声で体験を語る「あの頃の私たち〜語り継ぐ戦争体験」も開く。

 今回の戦争体験記は、「あ」の代表を務める、根岸純子さん(65)が18年前に、市内の老人福祉センター「けやき荘」の朗読サークル「どんぐり」のメンバーに「戦争体験を書いて小学校でお話してください」と提案したのが始まり。「どんぐり」は20年前に同福祉センターで朗読講座を根岸さんが講師を務め、修了者で立ち上げたグループ。根岸さんは戦後生まれだが、「戦争体験を今のうちに子どもたちに伝えたい」と考え、実施した。
 根岸さんは、自身の子どもがかつて通っていた、蒲生小学校に「戦争体験を語る会」を提案したところ、学校も快諾し、18年前から毎年1回開催することになった。「どんぐり」のメンバーが毎年交代で体験談の原稿を書いて、書いた本人が5、6年生の児童を前で発表するというもの。根岸さんが「世界地図」や戦争当時の写真などを教室に展示し、戦争当時の説明などを行った。
 こうした原稿が増えて、まとめようというのと、戦後70年に合わせて、今回、新たな原稿を加えて本にまとめることにした。構想自体は10年前からあったが、実際に本づくりをスタートしたのは、昨年の10月から。「どんぐり」のメンバーから集めた原稿を根岸さんら「あ」のメンバーが手分けして、データ化し、校正作業などを経て、制作した。
 執筆者は市内在住の70歳代後半から80代の人たち。軍隊での経験や、東京大空襲で生死をさまよったこと、ミルクがなくヤギの乳で赤ちゃんを育てた母親の話、疎開への移動列車が米軍機の機銃掃射で攻撃された話など、その人自身が体験したことだけを淡々と綴っている。「空襲」「疎開」「暮らし」「終戦」の項目に分け、30の体験談を掲載した。
 根岸さんは「戦争のことについての童話や、詩、文学作品はたくさんありますが、それとは違う、身近な人の具体的な体験に私は価値を見出してきました。その体験には空襲のような想像もつかない大変なことや、普通の日常生活もある。リアルな文章ばかりです」と話す。
 メンバーの一人、合瀬晴美さん(55)は「戦争体験は親から聞いたことしかありませんが、こうした本を作ることで、貴重な体験をすることができました」。草場澄江さん(51)は「地元の千間台小学校でも、戦争体験を語る会を開く、きっかけになりました。こうした本が子どもたちが読む機会が増えれば」と話していた。
 同本は180部印刷。費用は越谷市の「しらこばと基金助成金」を一部充てた。市内の3つの図書館(室)には寄贈し、だれもが読むことができる。11日の「語り継ぐ戦争体験」は午後2時から、サンシティ・視聴覚室で開く。4人の戦争体験者が語る。入場無料。
 <問い合わせ>根岸純子さんTEL985・8633、斎藤るみさんTEL965・2976。

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