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溝上さん高田誠賞・県展日本画「雨音」で

2015.6.22(越谷市)
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 越谷市大房の溝上紀美さん(63)は、日本画「雨音」(40号)で、高田誠記念賞を受賞した。県展での入賞は3年連続5回目の快挙。「連続受賞にはびっくりしました。今回の作品は今までと違う作風にチャレンジしたので、評価されて、うれしい」と喜びを語った。
 今回の受賞作品は、一人の女性がぼんやりと、外の雨音を聞きながら佇んでいる光景を描いた。「見えないものを表現したいと思い、空気感を描きたかった。部屋で一人のんびりして、外と中の空気感の違いを表現した。女性が雨音を聞いて、何かほっとしているイメージを描いた」と溝上さん。
 絵の女性は部屋のソファに腰かけ、白いセーターを着て、クッションを手に持ち、たたずんでいる。レースのカーテンの外には、木立があり雨が降っている。部屋の中にも雨が降り、不思議な雰囲気。一見、無表情だが、何かを考えているようにも見える。部屋の雨は「銀箔」をつけて表現した。
 溝上さんは「今回は今までにない表現方法を考えて描きました。以前、写生した人物のスケッチをもとに、構図を考えて、約2か月かけて制作しました」と話す。
 熊本県熊本市生まれ。幼いころから絵を描くのが好きで、デザイン学校を卒業後、名古屋市のデザイン事務所に就職。グラフィックデザイナーとして、本のイラストや調味料や飲料水のラベルのデザインなどを手掛ける。高校時代の先輩の栄一さん(64)と結婚後、今か37年前に上京し、知人に日本画家(牧野雅彦さん=故人=)を紹介してもらったのを機に、日本画を始めるようになった。「日本画の絵の具(顔料)の色に感動して、油絵では表現できない緻密な色を使った絵を描きたいと日本画の道に入りました」と溝上さん。
 出産を機に越谷市に転居し、子育てに追われる日々を過ごし、しばらく絵とは縁のない生活を送るが、長女が幼稚園に入った後、再び開始。都内のカルチャーセンターに通い、日本画家・加藤晋明氏の指導を受け、初の公募展「東京都勤労者美術展」で理事長賞を受賞。県展でも2回特選を受賞するが、子どもたちの教育費の負担が増える中、17年前から教室には通わずに独学で絵を続けた。
 子育てに一段落した現在、趣味の日本画を描き続ける。2009年には「日展」に初入選を果たした。銀座で絵画仲間とのグループ展も開いた。今年は「FACE展」と「日春展」にも出品した。「絵が好きなので、一生描き続けたい。海外旅行に行くと、文化の違いなど、様々な刺激を受けるので、外国の文化に触れて自分の芸術に活かしたい」と目を輝かせている。

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