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「多様な学び方」国の支援に・越谷らるごの活動が実る

2015.6.8(越谷市)
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 不登校の子どもたちが通うフリースクールを義務教育として認めよう。5月27日、国会議員の超党派による議員連盟が、議員立法による「多様な教育機会確保法(仮称)」の法案を今国会に提出し成立される見込みになった。越谷市の認定NPO法人・越谷らるごが運営する、フリースクール「りんごの木」は今月25周年を迎える。設立当初から同スクールは国などに呼びかけてきたことが、ようやく実現への一歩を踏み出した。法案が成立すれば、義務教育の場を小中学校に限定してきた戦後教育の大転換になる。2017年度の制度化を目指す。「りんごの木」では「今後、財政支援を含めた多様な学びが、どこまで実現するか、見守っていきたい」と期待している。

 越谷市のフリースクール「りんごの木」は1988年12月、同市千間台西の学習塾「遊学舎」有志が不登校の子どもたちへの学習支援活動を始めたことがきっかけで、1990年6月に「フリースペース・りんごの木」が生まれた。設立後、自然発生的に「親の会」ができ、「子どもから学んだことを社会に向けて発信していこう」と、1992年に「越谷らるご」を設立した。まだ、「フリースクール」という言葉もない時代だったが、「越谷らるご」は常に「不登校」の問題などを国や県、市などに呼びかけてきた。2001年には「越谷らるご」はNPO法人化され、「りんごの木」もフリースクールと名前を変えた。
 「越谷らるご」設立者の一人の増田良枝理事長(65)は「25年前の不登校の子どもへの社会へのまなざしはとても厳しいものがあった。学校に行けないのは本人か親の責任、または病気とされ、変化する社会に対応しきれない学校のあり方に眼を向ける人は少数でした。しかし、年々、りんごの木が社会に受け入れられ、たくさんの人たちに支えられながら、今までずっと続いている」と振り返る。
 増田理事長は、NPO法人フリースクール全国ネットワークの理事も務めており、5年前から、超党派の国会議員とともに、「子どもの多様な学びの機会を保証する法案を実現する会」を立ち上げ、実現に向けて動いてきた。「まずは多様な教育を確保するための根拠法を今国会で成立し、次年度、経済的な支援に具体的に踏み込んでいく」(増田理事長)予定になっているという。
 「りんごの木」には現在、小学校1年生から、23歳までの50人が通っている。利用者の一人で通信制高校2年生の男子(16)は、小学1年生の秋から不登校になり、小学2年生から「りんごの木」に通っている。男子は「いつも学校にもどらなくてはという思いが消えなかった。でも戻れなかった。中学校に入ると、高校に入ろうと、りんごの木で勉強を続けた。今は通信制に通いながら、りんごの木は毎日通っています」と話す。
 この法律が実現することで、増田理事長は「学校に行けない『だめな自分』から、『国が認めた』多様な学びの場で育つ自分に変化していくのではないかと思います」としたうえで、「法案の具体的な内容については、現行法との整合性もあるということですから、財政支援を含めた多様な学びが、どこまで実現するのか、今後も見守っていきたい」と期待する。
 今後は、フリースクールに対し、国による財政措置がどこまでできるかが、かぎとなるが、「学校外で義務教育」は画期的な転換になりそうだ。


 「多様な教育機会確保法(仮称)案」は、基本理念に「年齢や国籍に関わらず、義務教育を受ける機会を与えられるようにする」と掲げた。法案では、保護者がフリースクールや自宅で何をどう学ぶかを「個別学習計画」にまとめ、これを市町村教委が認定すれば、子どもを就学させる義務を履行したとみなす。修了すれば小中学校卒業と同程度と認める仕組みを想定している。フリースクールの授業料は月額数万円かかり、経済的な理由であきらめる親子も少なくないため、法案は国や自治体に必要な財政措置を求めた。
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