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木造地蔵菩薩立像が県文化財に・浄山寺、平安初期のもの

2015.3.16(越谷市)
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 越谷市野島の浄山寺(石井知章住職)にある、木造地蔵菩薩立像が9日、埼玉県指定文化財に指定された。県教育委員会の文化財保護審議会で答申を受け、決定した。県内からこのほか8件が指定を受けた。同菩薩立像は2011年3月11日の東日本大震災で、倒れて両足が損壊し、越谷市教委を通して修復と鑑定を依頼したところ、専門家の鑑定により、9世紀の平安時代初期に作られた可能性が高いことが分かった貴重な彫刻。
 県教委によると同像は「平安初期の木彫像に多いカヤ材を用いた一本造であり、量感豊かで威厳のあるデザイン、奈良時代の天平彫刻の余風をうかがわせる衣服のひだの特徴など、奈良木彫系統の特徴を備えた9世紀に遡る古像。県内はもとより関東でも屈指の古さを誇る木彫仏として貴重」としている。
 同像は木製の台座の上に、高さ92aの菩薩像が立つ。頭部にはもみあげもあり、耳たぶは環状。袈裟(けさ)を着て、右手には杖、左手には宝珠を持っている。後ろには「輪光背」と呼ばれる丸型の輪が付いている。一本の木で作る「一木造」でカヤ材を使用。本体には彩色もされ、古粉地に金泥彩などを使ったとされる。
 同菩薩像は、これまで文化財の指定は受けておらず、毎年2月と8月の24日の年2回、御開帳を行っていた。江戸時代には湯島天神に出開帳を行い、江戸町民が参詣に訪れたという。同寺は860年(貞観2年)、慈覚大師の開基と伝えられる。
 今回の修復鑑定で体内から、縦8・9a、横3・6aの「木製銘札墨書銘」と呼ばれる木片が貼ってあるのが発見された。木片には墨で「慶長五庚子年彩色」などと書かれ、「慶長5年に、仏師により彩色修理を受けている」ことが分かった。これらを材料に総合的に鑑定した。
 石井住職(70)は「鑑定の結果に驚きました。今回の埼玉県文化財の指定は大変うれしい。来年、開基1155年の記念の年なので、来年2月24日から、1年間公開し、多くの方に見てもらいたい」と喜んでいる。
 同寺には市指定文化財の「大鰐口」(1841年奉納の銅製)と「朱印状」の2つがある。市内の県指定文化財はこれで8件目。菩薩立像は保存状態が良く、新たな観光資源にもなりそうだ。