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「絵本」で振り込め詐欺防止・小林、佐藤さんら越谷署員も協力

2015.2.23(越谷市)
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 地域から振り込め詐欺の被害に遭う人を少しでも減らしたい。越谷市の元小学校教諭の小林富江さん(62)と佐藤恵子さん(61)が振り込め詐欺の犯罪のストーリーをユニークに描いた絵本「だめよ だめだめ かんがえて」と「でんわはるすでん」の2冊を手作りし、紙芝居にした。紙芝居は、市内の老人福祉施設をボランティアで慰問し、歌と共に笑いで振り込め詐欺被害防止を呼びかけている。活動を知った、地元の越谷警察署生活安全課も協力し、「家の電話を留守電にして出ない」などの対策を署員が童謡を使って替え歌を作り、キャンペーンや慰問先で合唱するなど、お年寄りが楽しく被害防止を学べるものとして注目されている。

 小林さんと佐藤さんの2人は、同市内の桜井小学校などで一緒に教べんをとった教員仲間。定年退職後、ウオーキングの最中に、市の防災無線で「振り込め詐欺事件が発生しました」という放送を何度も聞き、「自分たちで何かできないか」と考え、絵本と紙芝居を思いついた。
 佐藤さんは絵本作家「もこけいこ」としても活躍していることから、構想はすぐにかたまり、警察署に行って被害の実態を取材するなどして、「どういう手口で電話でアプローチしてくるか」「どうすれば、犯人を撃退できるか」をお年寄りが分かりやすく、笑いを交えて制作した。
 その手口は、犯人が孫をかたって「携帯電話をなくして、拾った人から5万円で返してくれるので、おじいちゃんお金出して」や「会社のお金が入ったかばんを盗まれた。200万円すぐに払わなければならない」などとアプローチ。そこで警察からのお願いとして「電話を留守電にすれば、声を録音されたくない犯人はすぐに切ります。用のある人はメッセージを入れます」と予防策を示している。
 完成した絵本と紙芝居を活用しようと、小林さんたちは教員仲間で「大袋歌声ボランティア」(会員5人)というグループを作り、昨年11月から市内のデイケア施設など老人福祉施設などを慰問することにした。毎月1か所を訪問している。小林さんは「紙芝居や歌を歌うことで、少しでも振り込め詐欺被害が減ってくれれば。何よりも会場で元気なお年寄りと出会うことで、こちらも元気になります」と笑顔で話す。
 佐藤さんは「自分の得意分野を生かして、ボランティアできるので楽しい。少しでも社会のお役にたてれば」と話す。もう一つの作品「だめよ だめだめ かんがえて」も孫をかたる犯人から「交通事故をおこした。示談金が必要」との電話を受けて、最後に「子どもと連絡をとろう。あわてず相談しよう」と被害を免れるストーリー。
 これらの作品を知った、越谷署生活安全課の地域防犯支援専門員の奥冨偉子さん(47)が「これは面白い」と協力を要請し、自身で童謡を使った替え歌を作ることになった。「かたつむり」の曲で「でんわはるすでん」を作った。歌詞は「でんでん電話に気をつけて 振り込め詐欺が狙っている 留守番電話で知らんぷり」。ユニークで覚えやすく、好評だ。
 奥冨さんは「インパクトがあり、覚えやすいものを作ろうと童謡の曲を使いました。普段から口ずさんでもらえば」と話していた。
 越谷署管内では昨年1年間で振り込め詐欺の発生が44件(前年比25件増)と激増し、被害総額は約1億3500万円(同5039万円増)と深刻な状況になっている。同署の下城清広・生活安全課長は「小林さんたちの活動は視覚と聴覚に訴えて、とても分かりやすい。現在、還付金詐欺が増える傾向にあるので、市民に注意を呼びかけていく」と話している。
 全国的に増えている振り込め詐欺。警察だけでなく、こうした市民らの地道な活動が未然防止の糸口になるはずだ。

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