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石巻の被災地で「神楽交流」・県立大の芦田さんが司会で参加

2014.12.1(越谷市)
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 越谷市の県立大学3年生・芦田彩希さん(21)が、東日本大震災で壊滅的な被害を受けた後、復活した宮城県石巻市の「雄勝法印神楽」と江戸里神楽の源流になっている坂戸市の「大宮住吉神楽」の交流に活躍した。芦田さんは今年9月に彩の国さいたま芸術劇場(さいたま市)で開かれた「第8回江戸里神楽公演」の学生実行委員会のメンバー。今回、初めて伝統文化に触れ、被災地復興に活躍する石巻市の神楽に興味を持ったことから参加。女性の参加は一人だけだったが現役女子大生として、11月16日に開かれた復興市「おがつ店こ屋街3周年記念ホタテまつり」に参加し、現地での「交流会」の司会進行役を務めるなど交流に一役買った。「地域の皆を元気にする神楽の力に感動した」と芦田さんは目を輝かせた。

 石巻市の「雄勝法印神楽」は東日本大震災による津波で当時の会長が犠牲になったほか、練習会場や道具のすべてを失い、壊滅的な被害を受けた。しかし、地元の同神楽保存会メンバーや地元住民の協力で一昨年、奇跡的な復活を果たし、その様子はドキュメンタリー映画「雄勝〜法印神楽の復興〜」にもなり、昨年、さいたま芸術劇場で開かれた「江戸里神楽公演」で上映した。これを縁に、今年は同公演に雄勝法印神楽がゲスト出演する予定だったが、地元でのイベント出演と重なってしまい埼玉での公演が実現しなかった。
 このため、「せっかくの機会なので、こちらから行って神楽を披露しあって交流しよう」と同公演をプロデュースする埼玉県立大講師の斉藤修平さん(67)が呼びかけ、11月に復興イベントがあるのを聞いて、そこで交流することになった。「ホタテまつり」は2011年11月にオープンした仮設商店街「おがつ店こ屋街」が3周年を迎えるのを記念して企画されたもの。主催は地元住民でつくる「おがつ復興市実行委員会」。
 坂戸の「大宮住吉神楽保存会」のメンバー16人と斉藤さん、芦田さんが11月15日に、バスで現地に駆け付けた。同保存会のメンバーの高達俊行さんは2011年3月11日、会社の出張で石巻市を訪れており被災した。津波に襲われたが必死に高台に避難し、助かった。しばらく避難所暮らしも体験し、石巻への訪問はそれ以来になる。到着したメンバーは宿泊先のホテルで、法印神楽のメンバーと合流し「交流会議」を開催した。芦田さんが司会進行を務め、神楽復活までの話を聞いた。雄勝の民謡が披露された後、芦田さんは出身地の長瀞町で幼いころから歌い踊っている「秩父音頭」を披露し、喝さいを浴びた。約2時間半、参加者一人ひとりと語らい、交流した。
 翌日はまず、地元の葉山神社で「扇の舞」を奉納した後、「ホタテまつり」のステージで両神楽が順番に披露した。芦田さんは「雄勝の神楽はダイナミックな舞いで埼玉のとは全然違うのでびっくりした。動的な神楽で地域の皆に元気を与えていました。復興支援において、伝統文化を継続する大切さを実感しました」と感想を話した。
 また、初めて津波の被災地を訪れた芦田さんは「現地の方に案内されて、建物のあった場所に津波の被害で何もなくなってしまったショッキングな場所を見て、声が出ませんでした。ただ、現地の人たちは明るい人ばかり、神楽はパワフルだし、復興へのエネルギーを感じることができた素晴らしい経験になりました」と充実した様子で話していた。来年以降は、埼玉での交流公演の実現に向けて動き出す。

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