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絵本をデジタル教材に・文教大生が幼稚園児に実演

2014.7.14(越谷市)
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 子どもたちに絵本や活字に親しんでもらいたいと、越谷市の文教大学教育学部心理教育課程の学生がデジタル版絵本導入教材を作成した。4日、同市内の北越谷幼稚園(佐藤順子園長)に同課程の今田晃一教授(文教大学教育研究所所長)と学生45人が訪れ、タブレット型情報端末iPadを使って、同教材を年長園児64人に実演し、「動く絵本」に園児らは歓声を上げていた。今田教授らが「幼児教育におけるデジタルの可能性」を追求しているもので、10年に及ぶ研究の成果でもある。参加した学生は皆、幼稚園教諭免許取得を目指しており、アナログとデジタルをつなぐことの重要性を考える良い機会になったようだ。

 この取り組みは、同学部心理教育課程の選択授業「マルチメディア教材論」の一環。これまで約10時間かけて学生らは読み聞かせしたい絵本を1冊選び、紙の絵本を読む前の「導入教材」(幼児に興味を持ってもらうためのソフト)をiPad対応のデジタル版導入教材として作成してきた。
 「導入教材」は実際の絵本のストーリーを数コマの画像と音声、文字で分かりやすく「動く絵本」にして、制作。あらすじは分かるが結末が分からないように工夫しており、子どもたちに「最後はどうなっちゃうんだろう」という興味を持ってもらい、あらためて、紙の絵本を読んでもらい、本に親しんでもらおうというもの。
 4日の北越谷幼稚園での実演では、集まった年長園児2クラス64人を前に学生があいさつした後、園児が3〜4人のグループに分かれて、そこに学生2、3人のグループがiPadと絵本を手に、読み聞かせと実演をした。iPadのディスプレイに出てきた絵本の画像を見て、園児らは「すごい」「かわいい」などと歓声を上げて喜んでいた。
 絵本は実際に出版されている「そらまめのベッド」(なかやみわ作絵)や「こぐまちゃんとどうぶつえん」(わかやまけん作絵)などを使用。画像を見て、興味を持ってもらった後、学生が実際の絵本を読み聞かせた。この間、別の学生はiPadを使って、園児たちの様子を動画撮影。最後にこの動画を「振り返りムービー」として、ディスプレイで視聴し、園児らは自分たちが映っている動画にさらに感動し、「心に残る授業」を実演した。
 同幼稚園の年長児担任の佐々木博美教諭は「デジタル教材に子どもたちが感動していました。学生さんたちが絵本の内容から研究し、子どもと一緒に楽しんでいたのが印象的でした。私たち教員もとても良い体験ができました」と笑顔で話していた。

 参加した学生の一人、4年生の川田美紀さん(22)は「写真や動画、クイズに子どもたちは身近なものを使うことで、関心が高まり、子どもたちの心をつかむことができました。これから保育の現場でデジタル教材を一つの新しい教材として活用することで保育の幅を広げていけると思います」と充実した様子で話していた。
 同じく、4年生の佐野暢美さん(21)は「活動を振り返る動画を見た後、『絵本面白かった』『クイズ正解できたね』などと、子どもたちは楽しかった気持ちを、もう一度お友達と共有することができました。iPadは撮った写真や動画を簡単に編集することができ、保育の現場でも使いやすいので、これからも活用していきたいと思います」と話していた。
 指導してきた今田教授は「幼児教育には直接体験、実物観察が最も重要。ただ、実際に活動につながる興味・関心を喚起するのにデジタルの持つ楽しさ、美しさ、わくわく感は有効。今回の活動は、学生たちが理論と実践のつながりを実感し、改めて幼児教育におけるアナログとデジタルをつなぐことの重要性を考えるよい機会になった」と学生たちの活動に満足そうだった。
 今田教授は2010年の初代iPad発売から、越谷市の大袋中学校と連携して、人と人をつなぐタブレット型情報端末の可能性を追求。英語や数学など教科学習に使える「教材ソフト」を開発し、実際に授業で使用するなどの成果を上げている。文部科学省は、2020年までにすべての学校にタブレット型情報端末とデジタル教科書を配布する計画を発表しており、今田教授は今後もその準備とそれを支える研究を続けていくという。
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