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平安初期のものと鑑定・浄山寺の地蔵菩薩像

2014.7.8(越谷市)
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 越谷市野島の浄山寺(石井知章住職)にある、木造地蔵菩薩立像がこのほど、専門家の鑑定により、9世紀の平安時代初期に作られた可能性が高いことが分かった。同菩薩立像は2011年3月11日の東日本大震災で、倒れて両足が損壊し、越谷市教委を通して修復と鑑定を依頼し、このほど判明した。鑑定した、前埼玉県立博物館館長・林宏一さん(70)は「(菩薩立像は)一本の木で作る一本彫りであるほか、カヤ材を使っているところや顔の表情など、平安時代初期に作られたものに多くの共通点が見られる。関東地方では最古級のものではないか。重要文化財級の貴重なものだ」という。この結果を受けて、県指定文化財として申請中で、今年度中にも「県指定文化財」として認定される見込みだ。

 修復鑑定を受けた菩薩立像は木製の台座の上に、高さ92aの菩薩像が立つ。頭部にはもみあげもあり、耳たぶは環状。袈裟(けさ)を着て、右手には杖、左手には宝珠を持っている。後ろには「輪光背」と呼ばれる丸型の輪が付いている。一本の木で作る「一木造」でカヤ材を使用。本体には彩色もされ、古粉地に金泥彩などを使ったとされる。
 同菩薩像は、これまで文化財の指定は受けておらず、毎年2月と8月の24日の年2回、御開帳を行っていた。江戸時代には湯島天神に出開帳を行い、江戸町民が参詣に訪れたという。同寺は860年(貞観2年)、慈覚大師の開基と伝えられる。
 今回の修復鑑定で体内から、縦8・9a、横3・6aの「木製銘札墨書銘」と呼ばれる木片が埋めてあったのが発見された。木片には墨で「慶長五庚子年彩色」などと書かれ、「慶長5年に、仏師により彩色修理を受けている」ことが分かった。これらを材料に総合的に鑑定した。
 同寺の檀家でNPO法人越谷市郷土研究会副会長の渡邊和照さん(73)が、これらの鑑定結果を聞き、6月20日に、越谷市市民活動支援センターで開かれた「やさしい・おもしろい越谷の歴史」講座の中で話した。「檀家の一人として、毎年の御開帳で菩薩像は拝見していた。震災で壊れてしまい、初めて鑑定することになり、製作時期が平安時代初期に遡ることが分かり、県内はもとより、関東でも最古級の木彫像で国宝級だ」との説明に受講者たちも驚きの声を上げていた。
 鑑定した林さんは「一本の木で作られており、顔の表情や衣服のしわの彫り方などが平安時代初期の様式・構造になっている。これまで、越谷市や周辺の県東部低地では、こうした像は発見されておらず、恐らく関東地方でも最古級の物。大変貴重なものだ」と話している。
 石井住職(70)は「これまで、鑑定を受けたことがなく、今回の結果に驚いているし、大変うれしい。今年度中に埼玉県指定文化財に指定されれば、記念として、1年間公開し、多くの方に見てもらいたい」と喜んでいる。
 同寺には市指定文化財の「大鰐口」(1841年奉納の銅製)と「朱印状」の2つがあるが、今回、県文化財に指定される予定の、菩薩立像は保存状態が良く、新たな観光資源にもなりそうだ。

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