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職場体験で進路も具体化・「越谷らるご」が不登校経験者後押し

2013.5.13(越谷市)
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 越谷市のNPO法人・越谷らるご(増田良枝理事長)はこのほど、文科省委託事業「不登校を経験し通信制高校に在籍する子どもや高校を中退した子どもの職場体験についての実践的調査研究」の報告書をまとめた。2010年度から3年間の委託を受けて実施したもので、越谷らるごが運営する、フリースクールりんごの木の活動として行った。報告書によると、不登校の子どもの多くは、自分の生き方に自信が持てず、仕事をするのも不安が多く、自立してもらうためにはアルバイトがしやすい環境づくりや「職場体験」を支援する体制づくりが必要で、様々な子どもたちが将来の職業選択に役に立つような「体験活動」が不可欠、とした。

 今回、調査にあたり、越谷らるごでは地域の団体や大学、企業、商店などに働きかけ、運営協議会を設立した。増田理事長をはじめ、朝日雅也埼玉県立大学保健医療福祉学部教授、鈴木雄一連合埼玉顧問、森島知之せんげん台東口商店会長ら9人で構成。不登校の子どもたちへの理解を深めてもらうことから始め、「社会参加を支援していくことの必要性」を共有し、不登校経験者が社会参加への一歩を踏み出すきっかけを模索した。
 職場体験は1年目は高齢者介護施設や楽器店、コミュニティカフェ(喫茶店)など10か所、2年目は保育所や果樹園、デザイン事務所、ラーメン店など9か所だったが、3年目には、せんべい工場やゲームソフト店などが加わり12か所まで増えた。3年目は8人の子どもが体験した。職場体験した子どもたちの声として、せんべい工場で体験した男子は「仕事は難しくなかった。初日が一番緊張した。社員の皆さんが温かった。段ボールを結束する機械が面白かった」と職場に興味を持ったようだった。
 活動2年目には、不登校やひきこもりを体験した身近な先輩たちの「体験談」を聞く機会も設け、フリースクールの卒業生から消防士や洋菓子職人、漆職人になった人など多彩な顔ぶれに。子どもたちに夢も広がった。
 3年間の活動の成果として@地域とのつながりが深くなったA子どもたちの「仕事」や職場体験へのハードルが下がったB「働く」ことを身近に感じ、より具体的に進路について考えるようになった、という。
 フリースクールに通っている子どもは、元気に前向きに活動に参加している子どももいるが、心理的に不安定で精神科に通院している子ども、発達障害と診断されている子ども、生活保護などの福祉制度を利用している世帯の子どももいる。
 増田理事長は「不安を抱えている子どもにとって、大人たちの『大丈夫、応援しているよ』という温かな受け止めが何より必要です。やってみようかなと、一歩を踏み出すきっかけとなります。委託事業は終了しましたが、皆さんとの出会いを大切に、今後もりんごの木として独自の活動を継続していきます」と話している。
 現在、フリースクールりんごの木には小学生から20歳代まで39人が通っている。子どもたちによる自主的な勉強のほか、料理や音楽(バンド)活動や機関紙発行など子どもたちの関心の高いものを必要に応じて講師を招き、充実させている。進路としては大学進学をはじめ、就職先としてプログラマー、デザイナー、ファッションモデル、介護福祉士、健康運動療法士などで各地で活躍している。
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