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明治30年代の三輪車見つかる・旧前田自転車店倉庫で、市に寄贈へ

2013.3.4(越谷市)
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 明治30年代の珍しい三輪車を越谷市で発見。越谷市中町の元前田自転車店の倉庫から、2月末、鉄製(一部木製)の前1輪、後2輪の三輪車が見つかった。見つけたのは同自転車店元従業員の三輪岩男さん(68)。見つかった三輪車は全長135a、高さ95a、サドルの高さは75aと大人が乗れるもの。自転車が普及する前に流通していたものと見られる。元店主の前田康夫さん(91)によると「初代の店主・前田豊吉さんが1902年(明治35)ごろに手作りしたものではないか」という。自転車文化センターによると「この三輪車の型は、明治10年代に作られていたものと同じもの。現在も残っていること自体が貴重だ」としており、前田さんは貴重な自転車なので市に寄贈することを考えている。

 見つかった三輪車は、フレームが鉄製、車輪は前後輪(前輪直径73a、後輪同59a)とも12本スポークの木製だが、地面に当たる部分には鉄の輪がはめられている。サドルも木製で地面からの衝撃をやわらげるように板バネ状にフレームに溶接されている。重さは23`。ペダルは前輪に直結されていて、大人が乗車するものと考えられる。保存状態は極めて良く、多少さびが浮いている程度で、ハンドルを持って移動すると異音もなく、車輪もスムーズに動く。
 前田自転車店は12年前に、高齢化を理由に廃業。店主の康夫さんは昨年12月に、春日部市内の有料老人ホームに入所したため、自宅や同じ敷地にある倉庫の管理を三輪さんに一任した。今年に入り、三輪さんが自宅や倉庫を掃除していたところ、倉庫の奥から見慣れない三輪車が出てきて驚き、知り合いの越谷市郷土研究会(宮川進会長)に訪ねたところ、「越谷に現存するのは大変珍しい」(宮川会長)となり、自転車文化センターに調査を依頼した。
 発見した三輪さんは、40年以上も前田自転車店の職人として働いてきた自転車のエキスパート。「越谷に自転車のルーツともいえる、このような三輪車が残っているとは驚きと感激でいっぱいです。越谷の歴史資料として展示されればうれしいですね」と三輪さんは笑顔で話している。
 元店主の前田康夫さんによると、愛知県から結婚を機に越谷に来た初代の豊吉さんは1902年(明治35年)に、当時の越ヶ谷町初の自転車店として、開業。その当時に販売目的で手作りしたのではないかという。元鍛冶屋の豊吉さんはその技術を生かして、難しい自転車のフレームのカーブなどをきれいに仕上げたほか、強度も人が乗れるものにした。
 康夫さんは「初代が記念に残しておいてくれたのかもしれません。今では貴重なものと知り、保存しておいたかいがあります。すでに廃業していますので、市に寄贈して、展示保存してほしい」と話している。
 これを受けて、越谷市・高橋努市長は「100年以上も前に作られた自転車が市内に現存していることに驚きを感じている。今後は市でお預かさせていただき、郷土の歴史学習のため、展示・公開し大切に保管させていただきたい」と話している。同市教委生涯学習課では、同三輪車を大間野町の歴史民家・旧中村家住宅で受け入れ、展示することを予定している。一世紀を超えて発見された貴重な三輪車は多くの市民の歴史資料として役立つことになりそうだ。

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