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道徳で日韓の命の掛け橋学ぶ・城ノ上小学校に李さんの両親来校

2013.2.11(越谷市)
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「命の重み」日韓の架け橋に。JR山手線・新大久保駅で2001年1月、線路に転落した男性を助けようとして命を落とした韓国留学生の李秀賢(イ・スヒョン)さん(当時26歳)の両親が1月28日、越谷市立城ノ上小学校(若田範之校長、児童715人)を訪れ、「命の重みと大切さ」をテーマにした6年生の道徳の授業に参加した。両親が秀賢さんの命日の1月26日に毎年、事故現場に献花するため来日していることから実現した。授業を見た両親は「息子の夢だった日本との懸け橋になることが、この授業を通じてかないつつあると感じました」と感激した様子で話していた。児童たちも「人の命を助けるためにとった秀賢さんの行動は本当にすごい」と感想を話していた。

 同小では毎年、秀賢さんの命日前後に、6年生を対象に、同事故を題材にした道徳副読本「ラッシュアワーの惨劇」を使い、授業を続けている。今回の訪問は、秀賢さんの遺志を顕彰し、アジア留学生を支援する李秀賢顕彰奨学会(現・LSHアジア奨学会)の寺井宣子事務局長と同小の福島早苗教諭が、子どもを通して長年交流があったのが今回の授業のきっかけ。毎年、息子の命日に来日する両親に「一度授業を見てもらいたい」との福島教諭の願いを寺井さんが伝えたところ、2人は感激し「ぜひ授業を見学したい」と実現したもの。
 今回の授業は6年3組で行われた。父親の李盛大(イ・ソンデ)さん(73)と母親の辛潤賛(シン・ユンチャン)さん(63)が教室を訪れ、担任の鈴木日登美教諭と道徳推進教師の福島教諭の指導のもと、秀賢さんが、どのような心情で日本で勉強し頑張ってきたのかや、ためらわず線路に飛び降りて人を助けようとしたときの気持ちを1時間にわたり、児童と一緒に話し合った。
 授業では、事故に直面した時の秀賢さんの気持ちについて、児童たちは「知らない人でも命の尊さは同じ。ためらっては助からないと思った」「命は一つしかない。今助けなければ、きっと後悔すると考えたのでは」「落ちた男性にも、自分と同じ家族がいるので助けなければと思った」などさまざまな意見が出た。盛大さんらも児童の真剣な授業態度を感心しながら見学していた。
 授業後、あいさつした盛大さんは「皆さんの意見を通して、人間としてどう生きていけばいいのかを教えてくれた息子を、今あらためて誇りに思う」。潤賛さんは「今できることを一生懸命やり、韓国だけでなく、いろいろな国の架け橋になってください」と児童たちにメッセージを送った。
 和田洋介君(12)は「授業を聞いて、韓国の架け橋になりたい。将来は人助けできる人になる」。清水真佳さん(12)は「人の命を助けるためにとった秀賢さんの行動は本当にすごい」。池田美桜さん(12)は「日本の男性を助けようとしたことで、秀賢さんは架け橋になれたのだと思う」。森和樹さん(12)は「これからの未来に向かって自分のできることをやりたい」とそれぞれ感想を話していた。
 秀賢さんの両親からの生の声を聞くことで、今回の授業を通して、児童に「命の尊さ」を伝えることができた。これを機にさらに、日本と韓国のつながりが強くなり、両国の「架け橋」になろうと児童は強く感じた意義のある授業になったようだ。

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