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蔵を「郷土玩具館」に・郷土研究会が市長に要望

2012.11.19(越谷市)
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 越谷市内の旧日光街道沿いに残る蔵を利用して、「郷土玩具館」の設置を。NPO法人・越谷市郷土研究会(宮川進会長)は、旧日光街道越ヶ谷宿地区の中心市街地活性化事業の一環として、10月30日、高橋努・越谷市長に「中心市街地に郷土玩具館の設置」の要望書を手渡した。同市はひな人形、だるまの産地として有名だが、実は同市産の郷土玩具として「船渡人形」「砂原人形」があることはあまり知られていない。こうした貴重な人形の展示をすることで、市外からも越谷を訪れてもらい、活性化を図ろうという狙いだ。
 郷土玩具館設置のきっかけとなったのは、今年7月7日、越谷市で初めて開かれた「第1回日光街道宿場町サミット」。市と市内の各団体、若手経営者らが連携して企画したイベントで、講演やシンポジウムに多くの人が参加した。このイベントの中で意見として出されたのが「現在、旧日光街道沿いに残る約20戸の古民家や蔵が残っており、地元からは喫茶店やギャラリーなどの癒やしの場の活用が提案されている。一部には借り上げについての問い合わせもある」とのこと。同サミットを企画した郷土研究会がこうした市民の意見をバックに今回提案したものだ。
 高橋市長も10月25日に開かれた「ふれあいミーティング」で、越ヶ谷宿の再生に地元の人や各種関係団体の活性化協議会の設立を市がサポートする意向を示すなど、行政として積極的に支援する方針を説明した。
 今回の郷土玩具館の設置は、街道沿いの蔵を活用しようというもの。郷土研究会の宮川会長(73)は「街道沿いの活性化には、多数の人に来てもらえる新しい施設が必要。その地域の特徴のあるものが望ましい。また、緊急な課題として、製作をやめている船渡人形、砂原人形の木型など、貴重な資料の収集、保存の問題があります」と話している。
 「船渡人形」は越谷市船渡地区、「砂原人形」は同市砂原地区で江戸時代から作られてきた張子人形だ。「船渡」は亀戸天神で売られ、別名「亀戸張子」として人気が高かった。座天神や牛乗り天神などがあり、とぼけたユニークな表情が特徴。
 「砂原人形」は越谷の隣、岩槻(現・さいたま市岩槻区)の第六天神社で販売されていたもの。張り子の「起き上がり小法師」で天狗、烏天狗などの面をかたどったものなどが人気で、農家では、作物の盗難除けにこれを畑につるしていたという。
 これらの人形は同研究会の顧問・高崎力さん(80)がコレクションしており、希望があれば市などに寄贈する考えだ。どちらも現在は製作されておらず、もし保存・展示されれば多くの市民らに伝えることができる。
 設置のイメージとして「蔵を購入、あるいは賃借して、玩具館とし、そうすることで建物の保存と活用が図られ、玩具は主に紙製のため、博物館のようなきめ細かな温度・湿度管理も必要ない」(宮川会長)としている。一方、要望を受けた越谷市の長柄幸聖環境経済部長は「市民から歴史的な蔵の関心が寄せられて大変ありがたい。市としても活性化が課題であり、側面から応援していきたい」と、前向きだ。
 宮川さんは「この動きが広まれば、残っている民家や蔵の所有者の方々にも、建物保存の考えが広まるはず。地元活性化の役割も果たす。また、船渡人形(亀戸張子)など知名度の高い玩具、人形を展示することで、市民の誇りにもなる」と期待している。

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