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貴重な「名簿」作る・出羽地区防災連絡協議会

2012.1.1(越谷市)
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 越谷市には住民自ら取り組んだ「出羽地区防災組織連絡協議会」(名倉雄作会長、加盟40自治会)が2010年12月に発足した。阪神淡路大震災の教訓から、住民同士の助け合いの必要性を痛感し、1996年から準備し、住民の長年の研究により実現した。市内唯一の団体で、県内でも住民独自で組織するのは珍しい。
 同協議会では、行政では困難とされている「防災名簿」の作成に取り組み、出羽地区住民の8割を超える名簿が提出され、協力している。名簿は氏名、住所、家族構成、年齢、職業などが明記されたシンプルなものだが、緊急時には貴重なものとなる。同協議会発足後わずか3か月で東日本大震災が発生し、住民の関心が高まったのも理由の一つだ。
 同協議会事務局長の松苗眞吉さん(73)は「災害時はまずは自助。自分でできることをやるのが先決。そして頼れるのは近所。支援は弱者ばかりでなく、自分が救助される立場になることもある。誰が誰を助けるか特定せず、お互いに助け合う精神を培い、実際に役立つ組織づくりが必要です」と話す。
 出羽地区コミュニティ推進協議会が発足してすぐの1996年から足かけ15年をかけて、ようやく結成にこじつけた。同地区には住宅街の市街地から農業振興のための調整区域までさまざまな住民が生活しているため、価値観がそれぞれ違い、全部の自治会に理解してもらうのに時間がかかった。しかし、加盟する全自治会の理解が得られたことで、個人情報の保護の壁のある名簿づくりもスムーズに進んだ。
 松苗さんは「防災組織間の協調で相乗効果も期待され、ある自治会で発電機を、別の自治会で炊飯道具を備えれば、互いを補い費用も軽減できる」と語る。行政でも市内の一部をモデル地区として、災害時要援護者登録制度を開始しているが、名簿作りには至っていないのが現状だ。「行政ではなく、住民が住民のために行うから価値がある」と松苗さん。
 今年は、家具の転倒防止を呼びかける。たんすや本棚など大きな地震のときには倒れて下敷きになり死亡するケースもあるため「自分の身を守るための手段として徹底していく。壁と家具を止め具を使って固定したり扉をロックするなどさまざまな方法がある。全家庭で取り組めば犠牲者は大幅に減る」という。
 東日本大震災以降、高まる防災意識。住民が自らの力で地域への絆を強化するひとつの見本になるものだ。

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