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いつの間にか成長していたね、と思える日が来る・<フリースクールは今>

2010.11.16(越谷市)
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 イサム君のお父さんは彼が中学の時に家を出ていきました。その後、おばあちゃんの家でお母さんとおばあちゃんの3人で暮らしていましたが、まもなくお母さんが病死されました。お父さんが養育を放棄してしまったので、お母さんの妹であるおばさんがイサム君を援助し、現在おばあちゃんとイサム君の2人暮らしを支えています。
 イサム君は高校に進学したのですが、気持ちが不安定になり精神科に通院することになりました。高校も中退し、元気をなくしていく日々の中で、りんごの木に出会いました。もともと音楽が好きだったイサム君は、りんごの木のバンド活動に参加するようになり友人もでき、少しずつ元気になっていきました。でも、まだまだ鬱々として体調が悪い日もありなかなか思うように動けません。食事、洗濯、掃除などもおばあちゃんに頼っています。
 おばあちゃんは心配で孫を想うあまり、つい「あーしろ」、「こーしろ」と口うるさく言います。ある時、お酒が好きなおばあちゃんが酔っぱらってクドクドと「早く自立して私を楽にしてくれよ」などと言い出し、とうとうイサム君はキレてしまったのです。心の中で、おばあちゃんやおばさんに申し訳ない、このままではいけないと思っていたイサム君だからこそ、おばあちゃんを殴ってしまいました。
 その後、自ら救急車を呼びりんごの木に電話をしました。「僕のせいでおばあちゃんが死んじゃうかもしれない」と。急いで病院に駆けつけたところ、軽い打撲で済んだというのでひと安心。その後も、救急車を呼ぶほどではありませんでしたが、度々おばあちゃんを殴ってしまうという出来事がありました。自己嫌悪に陥っていたイサム君でしたが、おばさんだけでなく、りんごの木のスタッフや友人に囲まれて、少しずつ自分を取り戻し、おばあちゃんから自立できるような進路を具体的に考え始めました。
 自立は強要するものではなく、今の自分を受けとめてくれる人がいるからこそ何とか生きていこうと思えるのではないでしょうか。いろいろあったけれどいつの間にか成長していたね、と思える日はきっときます。
 増田 良枝さん(ますだ・よしえ)NPO法人越谷らるご代表理事

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