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自分の考えを押し付けてはダメ・<フリースクールは今>

2011.8.16(越谷市)
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 さおりさんのご両親は、頑張り屋さんで、子どもにも頑張ることを求めてきました。中学校に行かなくなってしばらくしたころ、さおりさんはフリースクールりんごの木に入会しました。申込書の将来の希望の欄には、お父さんの字で「大学進学」とだけ書いてありました。さおりさんはご両親のことを「私がちゃんとやらないとこわい」と言います。私は「あなたのペースでやっていこうね。お父さん、お母さんには私から話をするから大丈夫」と伝えました。
 日頃、私たちスタッフは保護者の皆さんとできるだけ話をするようにしています。おとなは当たり前のように、学校教育を軸として成長する子どもの未来を想像しますが、不登校状態になると、これまで思い描いていた子どもの未来が見えなくなって不安になってしまいます。しかし、多くの親の方から、将来の心配より、今、立ち止まって悩んでいる子どもに向き合い寄り添うことが大切で、そう理解したら、そこから親子ともに楽になっていった、そんな体験をしたとお聞きしてきました。
 ある時、さおりさんが「もうお父さんには、私が悩んでいることは言わないでほしいの。怒るだけだから。増田さんとは、考え方が違うから相談したくないって言ってる」と言うのです。私は、<しまった!>と思いました。<お父さんにはお父さんの事情があるのかもしれないのに、私の考えを無理やり押し付けてきたのではないか。まず、ご両親を理解するよう努力しなければ>。私がそんなことを考えていると、ご両親は、経済的に苦しいということを打ち明けてくれました。「何とか資金繰りをして事業を始めたけれど、甘かった、かなり厳しい。体調も崩している。だから子どもには、今できることを頑張って着実に幸せをつかんでほしい、そう思ってきた。でも、それは親の思いの押し付けでした」。私も同じで、ご家族を理解するという視点が抜けていました。
 先日、さおりさんは私にこう言いました。「お母さんがね、最近やさしくなったの。りんごの木に出会って考え方が変わったって言ってる。さおりの気持ちを大切にしたいって」。
 りんごの木の音楽バンドのみんなは暑い中、猛練習をして、7月30日に越谷市北部市民会館でサマーライブを開催しました。次はさおりさんも、などと話をしています。
 増田 良枝さん(NPO法人越谷らるご代表理事)

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