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阿波踊りに復興託して・南相馬市からの避難者も「よみうり大花連」に

2011.8.8(越谷市)
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 「孫のような子と踊っていると、元気をいただきまーす」。東電福島第1原発事故で、福島県南相馬市から家族6人と越谷市の県営住宅に避難した海老原須美子さん(63)が、20日に開幕する「南越谷阿波踊り」で踊る。「よみうり大花連」(関森初義連長)として新たに編成された連員としてだ。「震災復興に向かって一緒に踊りませんか」。関森連長の誘いに、「暗い気持にいた自分に、踏ん切りがつけられた」と海老原さん。新しい希望を胸に、古里に、被災地に届けよとばかりに踊る…。

 海老原さん一家は夫婦と長女の野口直美さん(40)夫妻、1歳半と4つの孫の6人家族。原発事故の3日後、吉川市に住む二女、佐藤美香さん(37)から「早く逃げて!」の切迫したメールに危機感を覚え、弟がいる山形県へ避難。さらに長期間の避難が必至となり、4月20日から越谷市の県営住宅に移った。
      南相馬市と都内杉並区は2006年に「災害時相互援助協定」を結び交流。同区で8月に開かれる、「高円寺阿波踊り」には協定締結以来、約30人の「野馬追連」を編成、毎年参加している。海老原さんも「高円寺のほか、地元では老人会や新年会などの行事で踊っていた」と言うほどの踊り好き。
 福島県内から越谷市への避難者で結成した「一歩会」の人から、「野馬追連」の連員である海老原さんのことを聞いた関森連長。海老原さんに「私たちも大震災後、地域の思い出の大切さを再認識した。阿波踊りの思い出を、見る人たちとともに1年1年、心に積み重ねてみませんか」と呼びかけた。「古里に帰りたいけど、原発のニュースをみるたび、心が暗くなっていた」と言う海老原さん。この言葉に「すごく元気が出た」と参加を決めた。
 7月中旬から練習に参加した海老原さんに、関森連長は、「海老原さんの踊る姿は、みんなを元気にしてくれる。海老原さんも日一日と元気になっている」と、笑顔で見つめる。女踊りのリーダー、古澤由美子さんは「女踊りは踊り手が少ないので、経験者の加入はうれしい。とにかく踊りを楽しもう」と語りかけ、海老原さんも、すっかり阿波踊りのカンを取り戻した様子だ。
 「大花連」の連員は子ども(小学生以下)踊り30人、女踊り8人、男踊り15人、鳴り物14人の約70人。練習は4月から毎週土曜日に行ってきたが、7月からは土・日曜日の2回となっている。
 子ども踊りと男踊りのリーダー森崎紀子さんは「小さいときから阿波踊りを踊っているが、リーダーは初めての経験。ぜひ頑張りたい」。女踊りを束ねる古澤さんは「連員は少ないが、大花連の名のように優雅な大きな花が開くような踊りにしたい」。鳴り物のリーダー、木川田睦夫さんは「鳴り物は踊り全体をまとめる重要な役割」と、それぞれに熱く期待と抱負を語る。
 海老原さんの自宅は、原発から25`圏内の計画的避難区域。まだ、先行きの見通しは立たず、海老原さんも「小さな孫のことを思うと、すべて放射能が除線されて、安全な生活が確保出来るまでは戻らない」と厳しい表情。だが、今回の阿波踊りで「越谷の人たちの温かい気持ちに触れ、本当に前向きになれた」と感謝。本番を前に、仲間と心を合わせ練習に汗を流している。
 海老原さんが所属する南相馬市「野馬追連」の連員は、各地の避難先に散らばるが、今年も27、28日の「高円寺阿波踊り」には参加の予定。もちろん、海老原さんも南越谷、高円寺と連続で踊りまくるつもりだ。
(池島 庸介)

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