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ベンチプレス世界大会で銀メダル・山本茂樹さん135`挙げる

2011.5.2(越谷市)
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 越谷市東越谷在住の山本茂樹さん(67)が4月14日からデンマーク・ロドビー市で開かれた「2011世界マスターズベンチプレス選手権大会」に日本代表選手として初出場し、見事、銀メダル獲得の快挙を成し遂げた。日本を出発する日に千葉県東方沖を震源とする地震(震度5弱)に遭い、予定していた航空機(直行便)が成田空港から飛ばなくなったため、急きょ韓国、ドイツを経由してようやくデンマークに到着するなどハプニングばかりで、大会当日は寝不足の最悪のコンディションだったが、135`を挙げ越谷からメダリストが誕生した。山本さんは「まさかメダルが取れるとは」と喜びを隠せない。

 山本さんは元会社役員で、06年に退社した後、健康を維持しようと市内の越谷市民プールを訪れ、館内にトレーニングルームがあり、そこで「ベンチプレス」に出会った。07年9月には「埼玉県ベンチプレス選手権」に初出場し、77・5`を挙げて3位入賞。これが自信となり、筋トレに励んだ結果、08年の県大会で102・5`を挙げ、見事優勝。09年は115`。10年には135`を挙げるまでに実力を上げ連覇を続けている。昨年9月には「全日本マスターズベンチプレス選手権大会」に初出場し125`を挙げて3位入賞。この結果を受けて、日本パワーリフティング協会から日本代表選手に選考された。
 世界大会には全国から32人。埼玉県あらは山本さんただ一人出場した。「目標は150`を挙げること」(山本さん)と世界大会に向け、トレーニングを続けていたが、3月11日の東日本大震災と福島第1原発事故の影響による計画停電のため、練習場所である越谷市民プールが利用できなくなった。そのため神奈川県にある民間のジムなどに行き、練習をするが「練習不足でした」と山本さん。精神的にも「震災後のこんな状況の中で世界大会に出場していいものだろうか」と山本さんは悩んだ。しかし、先輩や市民プールに通う仲間から「こんなチャンスはないのだから出場したほうがいい」と説得された。
 しかし、出発当日も地震に。成田空港に向かうバスの中で地震に遭ったが、無事に空港には到着。震源も近く揺れも大きかったため、航空ダイヤは運休する便ばかりとなり、デンマーク・コペンハーゲン直行便をあきらめ、韓国・ソウルからドイツ・フランクフルト、そこからコペンハーゲンに行くという18時間をかけた強行軍で到着したのは4月13日の午前1時。1日の余裕を見て来たが「長時間のフライトでいわゆるエコノミーシート症候群で、足がしびれるなど体調不良でした」(山本さん)。
 最悪のコンディションだったが、世界大会では多くの選手が日本の大震災を知っており「大丈夫か」「頑張って」の声援を受け、記録に挑むことになった。山本さんはマスターズ3(60歳代)の66`級で出場。1回目に135`を挙げ、2回目に142・5`に挑戦するが足をつってしまい3回目とも失格になり、1回目の記録で2位に入賞。銀メダルを獲得した。山本さんは「結果には満足していませんが、表彰台に上がり、君が代を聞いたときは感動しました。ここまでこられたのも指導してくれた方や仲間のおかげ」と振り返る。
 帰国した山本さんは、またトレーニングに市民プールに通う日に戻った。「次の目標は160`。練習は仲間がいて楽しい。健康維持のためにも、さらに仲間を増やしていきたい」と目を輝かせている。常に前向きな山本さん。多くの仲間に支られて、さらに記録を伸ばす日も近いだろう。
   (安部 匡一)

 ベンチプレス=バーベルが乗った平らなベンチ台に仰向けになって、両腕のみでバーベルを挙げ下げする。バーベルの重量を競うのが競技。競技は年齢別・体重別に行う。安全で手軽な種目として広く愛好されており、高齢者の競技人口も多い。
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