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校庭は「空飛ぶこま」に大歓声・遠藤正助さんが実技指導

2011.1.24(越谷市)
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 空高く飛ぶこまに児童たちから大歓声。越谷市立越ヶ谷小学校(平直樹校長、児童686人)で18日、「投げこま日本一」のタイトルを持つ、越谷市赤山町の遠藤昭助さん(76)が同小1年生3クラス82人を前に、こまの妙技を披露した。3階建て校舎よりも高く、約15b以上も空を舞うこまに、児童たちは「すごい」を連発。遠藤さんは「日本の伝統的な遊びであるこまの楽しさを多くの子どもたちに伝えたい」とさまざまな技を見せ、日本の昔の遊びを学ぶ充実した授業となったようだ。

 今回のこまは、同小1年生の「生活科」の授業の一環「昔の遊びを学ぶ」ことを目的に、遠藤さんを招き行われた。同小で遠藤さんが「先生」になるのは昨年に続き2回目。孫が同小に通っていることから、昨年声をかけられ、児童たちにこまの技を伝授している。
 授業はまず、校庭に集まった1年生を前に、遠藤さんが技に披露。「それっ」。遠藤さんの掛け声とともに、麻糸の上で回っていた小さなこまが一瞬で、空中に舞い上がった。こまは小学校の3階建て校舎の屋上を軽く越え、15bほどの高さに。そして、落ちてきたこまを麻糸でキャッチする。児童たちは麻糸で簡単に操る技に大歓声を上げていた。
 妙技の披露の後は、体育館に集まり、遠藤さんから普通のこま回しの手ほどきを受けた。まず、児童の代表が前に出て、こまに麻糸を回すところから、実際に投げて回すまでをていねいに指導。「肩に力を入れないで」「糸をしっかり巻いて」「こまは軽く握って手首を柔らかく」など一人ひとりに指導していた。中には、しっかりとこまを回す児童もいて、「いいぞ、うまいね」と関心する場面もあった。手ほどきのあとは全員が自分のこまでそれぞれ回して楽しんだ。
 こま回しを体験した児童の一人、寺園華さん(7)は「遠藤さんのこまを飛ばす技はすごかった。まだ、こまは始めたばかりだけど、うまくなりたい」と笑顔で話していた。また、荒木楓稀くん(7)も「こま回しはすごく楽しい。遠藤さんのようにうまくなりたい」と目を輝かせていた。学年主任の谷ヶ崎克美教諭(55)は「こまは昨年12月から勉強しています。2月17日に昔の遊び大会があるので、それに向けて練習しています。子どもたちは皆一生懸命なので、楽しそうです」と話していた。
 平校長は「今は、親もこま回しをしたことがない方も多く、児童たちには貴重な体験ができたと思います。こうした昔の遊びを通して友だち同士や親、きょうだい、おじいちゃん、おばあちゃんなどとコミュニケーションする機会にもなり、今後も続けていきます」と話していた。
 遠藤さんは「子どもたちの夢中になっている姿を見るのはうれしいです。これからも声がかかればいつでも駆けつけたい」と満足そうだった。同小にはこまのほか、けん玉やめんこ、おはじきなどの昔の遊び名人が学校を訪れて指導しているという。地域の貴重な人材を使った有意義な授業で、伝統文化を伝える一つの手段になっているといえそうだ。
 (安部 匡一)

 遠藤さんは秋田県南部の豪雪地帯、羽後町の生まれ。小学校入学前からこまを回して近所の仲間と遊びに興じていた。5歳のころ、父親から直径約8aの鉄ごま2個を譲られた。重さは300cほどもあり、ずっしりと重い。代々遠藤家に伝わっているもので、100年以上は経っているという。遊びも祖父から父へ、そして子へ伝わった。
 冬は雪に閉ざされる羽後町。神社の板敷きの間でこまに夢中だった小学生時代。毎日、近所の仲間と「けんかごま」をして遊んだ。「妙技」はそのころ会得した。
 細い麻糸にこまの軸をからませて安定を保ちながら自在に回し、空高く放り投げる。見た目には簡単だが、だれでもできるものではない。投げるだけでなく、落ちてくるこまをさらに麻糸で受け止める。こまの回転を止めることなく何度も連続してできる。遠藤さんいわく「この技ができるのは日本では私だけでしょう」。
 中学生以来、こま遊びから離れていた遠藤さんが再び、こまを手にしたのは越谷に引っ越してきて5年後の1975年のこと。都内の建材会社に勤める傍ら、越谷市内のマラソン好きのサークル「走友会」に入会し、休日には大会があるごとに走ってきた。ただ、ゴール後記録集計に時間がかかり、待ち時間が手持ち無沙汰だったため、「時間つぶしに、こまの妙技を皆に見せようかな」と考え、マラソン会場でやってみたところ大盛況。それから地域の集まりなどのアトラクションに呼ばれるようになり、妙技を披露している。
 2009年には初めて、「第10回全日本独楽回し大会」(全日本独楽回しの会主催)に出場し、「投げ独楽オープン部門」で見事優勝した。こまが回り続ける時間の長さを競うもので、4分51秒28の大会新記録でチャンピオンとなった。遠藤さんは「体で覚えたものは忘れない。こま回しの楽しさを後世に伝えるため、元気なうちはどこにでも出かけます」と元気いっぱいだ。

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