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一人ひとりの子に向き合おう・<フリースクールは今>

2010.5.24(越谷市)
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 障害や病気があるかどうかの境界はどこにあるのでしょうか。  「発達障害だと診断された」あるいは「精神や知的障害があるのではないかと言われた」。そのせいで不登校になったのではないかという相談が増えています。こだわりが強い、友人と興味を分かち合えない、コミュニケーションが不得手であるなどの個性を持っている子どもは、学校などの集団生活の場では困ることが多々あると思います。「うちの子どもでもそちらに通えますか」このような相談がりんごの木にもありますが、私たちは、極力診断名にこだわることを避けるようにしてきました。  小学校で不登校になったナオさん(仮名)のお母さんは「うちの子、まわりの子となんか違うな」と小さいときから感じることがあったそうです。小学校入学後だんだんと元気がなくなっていくナオさんをみて気になり医療機関を受診したところ発達障害だと診断されました。中学になってりんごの木に入会しましたが、通院は継続していました。当初、寡黙で友人関係をつくることも難しく、何事にも積極的になれず「自分は発達障害だから」と自信をなくしているように見えました。私たちスタッフは、ナオさんの気持ちを尊重し、ナオさんのペースに合わせることを心掛けていったところ、今は通院もやめ、アルバイトをしながら通信制高校に在籍し、自分の不登校体験を人前で語るなど、元気に過ごしています。
 ヒロさんは、小学校のときに一時期神経症的なこだわりが強くなり日常生活も困難になって精神科を受診、入院することになりました。退院後りんごの木に通うようになりましたが、他人と比較されることのない、ゆったりとした雰囲気の中で、他の子どもたちとともに遊んでいます。あたりが散らかっていても気にならないようです。
 障害や病気があるかないかの境界というのは、しょせん、人が作ったものであることを意識していかないと、レッテルを貼ったまま、マニュアル通りの対応をしてしまいがちです。一人ひとりの子どもにしっかりと向き合い、受け止め、「大丈夫だよ」というメッセージを伝えていく、それだけで子どもの気持ちが安定していきます。境界線は固定したものではなく、あやふやなもので、子どもを取り巻く環境によりどの方向にも動いていくようです。
 増田 良枝さん(ますだ・よしえ)=NPO法人越谷らるご代表理事。

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