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初の「江戸小物細工」展示会・伊比さんらの作品100点展示

2010.5.24(越谷市)
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 江戸時代の民家や商店を100分の1サイズの模型で再現した「江戸小物細工」の教室を主宰する越谷市袋山の伊比美弥子さん(68)と教室生たち8人による初の作品展「ワンダフル スモール ワールド」(越谷市教委後援)が15日から17日まで、越谷市中央市民会館ギャラリーで開催され、多くの人が精密な模型の世界を堪能した。
 展示されたのは、木製のミニチュア旅籠(はたご)や商店、民家や峠の茶店、米屋、合掌造り民家など江戸風情のある約100点。どの作品も節目のない洋材を太さ1_に削ったものを組み合わせて、柱や屋根、雨戸、ふすまなど、すべてのパーツを忠実に再現したもので、雨戸やふすまは実際に開閉できるしくみ。屋根をはずせば屋内も見られる。室内にはかまどやお膳、座布団、衣類まで和紙などを使って、ていねいに作られ、まさに「スモールワールド」。見ているだけで楽しくなる模型だ。見学に訪れた市民は皆、驚きの声を上げていた。
 教室を指導する伊比さんの本業は夫婦で豆腐店を営む。今から22年前、都内のデパートで、開催された当時の江戸小物細工作家・服部一郎さんの展覧会に行って、その見事なミニチュア世界に魅了され「ぜひ自分も作ってみたい」となった。教えてくれる人を探していたところ、大宮駅前のデパートで展示会をしていた長岡宏之さんに出会い、長岡さんから手ほどきを受け、13年ほど学んだ。
 手先に器用さと根気のいる制作作業だが、伊比さんは商売の合間を縫って制作に励んでいる。1つの作品を仕上げるのに約1年かかるものもあるが、これまで自身で制作したのは60点にのぼる。作品は主に25a四方の台に高さ約25aの家屋と庭などを作る。伊比さんは「特に難しいのが、雨戸やふすまなど開閉する部分の制作。1_でも狂うと動かないため、精密な作業が必要です」と話す。
 石川県金沢市で生まれた伊比さんは、結婚して越谷市に移住。豆腐店を開業してもうすぐ45年になる。夫の四郎さん(70)も趣味に協力的で、自宅での制作作業を温かく見守る。6年前に近くの北部市民会館で江戸小物細工教室を開講した。8人の生徒が学んでいる。
 伊比さんのもう一つの趣味は登山。東日本のほとんどの山を登頂したという行動派。「江戸小物細工は何もかも忘れて集中できるのが魅力。1日2時間集中するのが限度ですが、まだまだ多くの作品を作り、少しでも多くの人に伝えたい」と笑顔で話す。動と静を併せ持つ趣味人だ。
  (安部 匡一)

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