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甦った悲運のエース、地元で力投・中里投手、イースタン巨人対ロッテで

2010.5.3(越谷市)
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 プロ入り10年目を新天地の巨人で迎えた春日部共栄高出身の中里篤史投手(27)が、故郷のフアンの前で、中日から受けた戦力外通告の屈辱を跳ね返す力投を見せた。25日、越谷市民球場で行われたプロ野球イースタン・リーグ「巨人対千葉ロッテ」戦。2―0のリードした大事な場面の8回に登板。持ち味の直球で見事、3者凡退に抑え、スタンドから拍手の嵐。試合後、岡崎郁監督も「良い内容でした」と、高い評価。1軍昇格の期待も膨らんだ。(関連記事2、3面に)

 高校3年で150`の豪直球。本格右腕で評判を呼び、2000年のドラフトで中日に1位指名で入団。翌年はフレッシュオールスターに選ばれ、9月の巨人戦で1軍初登板し、5回3失点。しかし、02年春のキャンプ中、宿舎のらせん階段で転倒、右肩を痛めてリハビリ生活を強いられた。
   05年に復活、10月の広島戦で救援の初勝利。日本ハムとの日本シリーズでは、新庄剛志の最後の打席で三振を奪い、話題を集めたが、再度、右肩を痛めて休養。昨年5月にやっと1軍昇格を果たしたものの、11月2日に戦力外通告。どん底の苦しみの中で、同9日、巨人へトライアウトを経て移籍した。
 「だから、もう自分が結果を出すしかないんです。1試合を大事に前を向いて投げたい」。その気持ちが、次第に投球に現れた。4月17日、沖縄での阪神戦。3番手として8、9回を無安打3三振。さらに翌18日には、9回1死からリリーフ、2人を凡打に抑えた。岡崎監督も「実力がついてきている。勝ちパターンの中継ぎ投手として大切に育てたい」と、将来を見据えている。
  この日は2点リードした8回。ロッテは1番からの好打順だ。場内に「ピッチャー、マイケルに代わり中里」と告げられると、スタンドからは、「待ってたぞ中里」「頑張れよ、中里」の拍手と声援。「10年ぶりの越谷市民球場と、大きい声援に少し緊張しました」と照れるが、同年齢の女房役・星孝典捕手は、試合後のベンチで「地元なんだから大きく掲載してやって下さい」と記者にハッパ。中里は「いやいや、キャッチャーが良かったからです」と頭をかく。もう、巨人の仲間に溶け込んだ。
 この中里の好投を、外野席の外で見守っていたのが、高校野球部でともに汗と涙を流した小川智史さん(27)(YC読売新聞三郷西部店勤務)だ。この日は、主催団体のスタッフとして外野席の整理に当たっていた。「中里は、野球に真っ直ぐで一筋なヤツ。巨人やフアンへの感謝を忘れず、早く1軍に上がって欲しい」と願う。
  今も、忘年会には旧友が集まる。「ケガも治り、調子も良いようだから、ぜひ頑張って欲しい」。こう中里にエールを贈る小川さんは、「今年の忘年会は、中里から『1軍で思い切り投げたよ』との言葉を聞きたい」と言う。そんな中里の人懐っこい笑顔を、今から思い浮かべている。


 中里篤史(なかざと・あつし) 1982年12月9日生まれ。朝霞市出身。春日部共栄高3年の県春季大会で優勝。夏の緒戦では、5回コールドで15人全部三振の完全試合(参考記録)をしたが、甲子園出場はならず。中日に入団後は、ケガ続きで『悲運の天才投手』と呼ばれたが、巨人入団後は、直球を生かした投球に活路を求める。185a、84kの恵まれた体格で右投げ左打ち。。血液はO型。既婚。
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